騒音対策
木造住宅
日本の気候風土に適した木造建築。四季の移ろいを肌で感じ、自然と解けあって生活できるよさを持っています。
しかし、その反面、開放的な住まいの構造から一般的に音に対しては無防備です。さまざまな音が外に漏れやすく、また外からも騒音が入ってきやすいウィークポイントをそなえています。一方最近では住宅の高気密化から、室内での外部騒音の低下から空間の音が聞こえやすいといった問題も起こっています。これらをカバーするためには、各部屋ごとに静けさのレベルを設定して、計画的な騒音対策を進めていくことが大切です。
各部のチェックポイント
天井
木造住宅の場合、天井は階上からの音が伝わりやすい構造になっています。これをできるだけカバーするには石膏ボードに制振材を貼るなど、遮音性の高い下地材を採用し、また防振吊木を併用するなど、しっかりした騒音対策が必要です。
床
木造住宅は遮音性が低いので、階上からの音も、階下からの音も、空気伝搬音として伝わる場合と階上の床から、歩行音などの固体伝搬音が伝わる場合があります。このため制振性の高い材料や、階上や階下からの空気伝搬音を防ぐ遮音性の高い材料を使う必要があります。
壁
薄い壁だけでなく、柱などをも容易に伝わっていく音。音によって壁や柱などが響かないように、強固な材料を使用したり、音を吸収しやすい多孔質のものを併用するなど、しっかりした壁をつくるようにします。
マンション・RC住宅
マンションやRC住宅の場合、壁や床がコンクリートということで、とかく安心しがちです。
しかし、実際は壁や床を伝わってくる固体伝搬音が騒音として問題になっています。とりわけ集合住宅では、屋外から聞こえてくる自動車の音などはさほど気にならなくても、テレビや洗濯機など、隣人の生活音は思いのほか気になるもの。騒音対策はもちろん基本ですが、音量を下げたり、深夜の洗濯は避けるなどの騒音を出さない配慮とともに隣人同士のコミュニケーションを深めておくことも大切です。
各部のチェックポイント
天井
天井をつくる場合、スラブからの振動を直接天井に伝えないよう防振ハンガーを使用するなど固体伝搬する音を防ぐと同時に、ハンガー等から伝搬される振動を抑える制振効果の高い天井材を使用するなどの対策が必要です。
床
RC住宅の床の防音性能はスラブ厚と面積に大きく依存するため、通常の床下用防音部材ではその効果を発揮しにくくなります。このケースでは防振ゴム置床の下地材と仕上材の間に制振材を使用することで、防音性能を向上させることが可能になります。
壁
コンクリートは剛性が高いので、思いのほか固体伝搬音が問題となりやすいものです。そのためには音の放射を抑える制振性をもち、かつ、しっかりした構造の壁をつくることが大切です。