我が家の外壁をコスパ良くリフォームするためには、どんな材料や工法を選べばよいのでしょうか。目先の費用で選ぶと損をしてしまうことも多いのが、家の補修やメンテナンスです。お得に、我が家に合った外壁リフォームを選ぶ方法をご紹介します。
家の寿命は長い!目先の費用で考えると損をする
ひと昔前、洋服や着物は手縫いでていねいに仕上げ、ほつれたら繕い、汚れたら手洗いやクリーニングに出して、1着を大事に着たものです。しかしイマドキはファストファッションが広がり、安い価格で流行りの服がすぐ手に入るようになりました。
しかし家はファッションとは違います。何千万円も払って手に入れた大切な財産ですから、汚れたり壊れたりしたからと言って気軽に買い換えるわけにはいきません。
木造一戸建ての寿命は70年以上が当たり前の時代です。しかしこれは適切な補修やメンテナンスをしてこそのこと。そのまま放置しておけば、寿命は縮み、修理するのにも高額な費用が掛かってしまいます。家は、定期的に手を入れ、いつも健康な状態でできるだけ長く維持し続けることが、結果的には費用が安く済み、お得なのです。
100万円×3回と250万円×1回を比較してみる
問題はメンテナンスの方法です。外壁のリフォームは、使う材料や工法によってこの先の費用が大きく変わるため、目先の金額だけで比較をすると思わぬ損をしてしまうことがあります。
例えば外壁のリフォームでシリコン系塗料を塗り直すスパンはおおよそ10年です。1回100万円の塗り替え費用がかかる家なら、30年で3回の工事が必要になり、合計300万円かかる計算になります。
そこでもし、“1回に250万円かかるけれども、この先30年以上、メンテナンスがほとんど要らない”材料や工法があったらどうでしょうか。30年間で50万円も得をします。いまどきは低金利の時代ですから、300万円を銀行の定期預金に預けても、貰える利息は1年でおよそ300円(※1)です。そう考えるとかなりの得をすることが分かります。
このように、家の維持は長い目で見て検討することが重要です。目先の費用だけにとらわれてしまうと、損をしてしまうことが少なくないのです。
※1:スーパー定期の利息0.01%の場合の想定金額です
空き家問題が我が家にも?負の遺産を作らない
コスパの良い外壁リフォームの選び方をご紹介しましょう。まずは我が家の築年数と、将来設計を考えてみましょう。築30年の家なら、あと40年以上は十分に住み続けることができますから、長期でのメンテナンス計画を立てることが大切です。
「いや、そんなに長くは住まない」「売却を予定している」「子供たちに継ぐので後は勝手にしてもらう」と言った声を聞くこともありますが、メンテナンスがされていない劣化が進んだ家は、売れないし借り手もつきません。そんな家は、まさに負の遺産。子供がもらっても困ります。
現在、日本全国で起きている空き家問題では、売れない、貸せない、解体に費用が掛かるので放置されているという家が少なくありません。家は良い状態で維持し続けることが資産価値を守り、我が家を空き家にするのを防ぐことにもつながるのです。
費用を削減しつつ、性能とデザイン性をアップさせるのがコツ
メンテナンス計画では、単純な工事費用の検討だけでなく、住宅性能についても考えることが大切です。例えば築30年の家なら、使われている外壁材や工法は30年前のものということ。イマドキはその当時よりも格段に、雨や風、火災に強く、丈夫で軽い外壁材があります。
加えてデザインも進化しています。住宅のデザインにも流行があり、やはり新しいものはスタイリッシュです。種類も増えていますので、選ぶ楽しみがあります。
つまり、家のメンテナンスの際には、この先のランニングコストを削減しつつ、以前より性能やデザイン性を向上させることが、本当にコスパの良い外壁リフォームということになるでしょう。
我が家にとってコスパの良い外壁材はどれ?
最後に、塗装やサイディングなど、外壁のリフォームに掛かる費用の概算とメンテナンスのスパンをご紹介しましょう。
表1.外壁改修工事費比較(外壁面積 150㎡)
各種 外装工事 |
塩ビ系 (普及品) |
金属系 (普及品) |
窯業系 (普及品) |
ローラー塗装 ※1 |
足場工事 | 150,000円 | 150,000円 | 150,000円 | 150,000円 |
下地工事 | ||||
既存壁はがし | ー | ー | 650,000円 | ー |
防水シート工事 | 45,000円 | 45,000円 | 45,000円 | ー |
胴縁工事 | 135,000円 | 135,000円 | 135,000円 | ー |
水洗処理 | ー | ー | ー | 60,000円 |
クラック部シーリング | 10,000円 | 10,000円 | ー | 50,000円 |
外装材取り付け工事 | 1,050,000円 | 950,000円 | 920,000円 | 530,000円 |
シーリング工事 | 10,000円 | 100,000円 | 210,000円 | |
その他工事 ※2 | 10,000円 | 10,000円 | 100,000円 | 10,000円 |
工事費合計 | 1,410,000円 | 1,400,000円 | 2,210,000円 | 800,000円 |
30年間の メンテナンス費用 |
ー | 10年で1回 再塗装必要として 1,600,000円 |
10年で1回 再塗装必要として 1,600,000円 |
10年ごとに 再塗装 1,600,000円 |
期間費用合計 | 1,410,000円 | 3,000,000円 | 3,810,000円 | 2,400,000円 |
1年間当たりの 負担額 |
47,000円/年 | 100,000円/年 | 127,000円/年 | 80,000円/年 |
注1)上記は樹脂サイディング普及促進委員会データの「再塗装回数」を現状に合わせ、7年ごと4回を10年ごとに2回として計算
注2)足場工事は㎡単価1,000円と仮定
※1 塗装工事は外壁の実質面積を全面積の80%と見なす(開口部を除く)
※2 その他の工事
・下地手直し他(電線、エアコン、雨樋の撤去及び復旧等の工事は別途)
・搬入、搬出、残材処理費等は別途
この表を見ると、足場工事はどれも共通で、最初の工事費はローラー塗装が安いのですが、先々には費用がかさみ、塩ビ系(樹脂)サイディングに逆転されているのが分かります。樹脂サイディングは北米では最もポピュラーな外壁材で、軽く丈夫でデザイン性に優れた外壁材です。
コスパの良い外壁リフォームとは、我が家の将来を見越して、長い目で見てお得な工事を選ぶこと。皆さんも後悔の無いようじっくり検討してみてくださいね。