減少傾向が続く新築着工戸数ですが、2023年度の80万戸から2040年度には
60万戸を下回るだろうと言われております。
営業現場ではリフォームに活路を求める動きがみられますが、大事なことを見落としていることに多くの人が気づいていません。
「自社の強みを活かせ」これは言い古された文句ですが、これを訴求することが忘れられていないでしょうか?
まずは自社の強みを探すこと、もし強みがないのであれば、強みを新たに追加すればよいのです。
筆者の本業はハウスメーカーや工務店の受注アップに関するお手伝いです。
工務店の営業マンに対する直接の指導を含めて様々なアドバイスをするのですが、最も効果的な営業手法の一つは「競合他社の営業マンがしないことをする」ことでしょう。
その中の代表的なものの一つが、外壁のアピールなのです。
その重要なポイントを4つ、私の実体験含めてお伝えいたします。
①営業マンが外壁をアピールしない理由を知れば戦略が立つ
私は某ハウスメーカーの営業出身なのですが、その当時の自分を振り返ると、外壁のプレゼンテーションは極めておざなりだったと記憶しています。
理由は極めて簡単。お施主様の反応が鈍いからに他なりません。
「弊社の外壁は〇〇を使用しており雨風に対して非常に強いのです」
こう説明してもお施主様は軽く頷くだけで、関心が高いのは間取りであり価格であり、キッチンなど住宅設備機器なのです。
しかし、ハウスメーカーを辞めて今のコンサルティング会社を起こした時に、はたと気づいたことがありました。
「お施主様が外壁にあまり興味を示さないのではなく、自分の説明が通りいっぺんでつまらなかった」結論はこれです。
某輸入住宅会社の商談シーンを展示場内のカメラで見ていた時のことでした。「外観が可愛い家が多いですね!」と話す奥様に、営業マンが「ありがとうございます。弊社の外観がかわいく見えるには理由がありまして、使用している外壁の素材が・・・」と説明し始めたのです。
すると奥様は話の途中で大きく頷きながらしきりに感心するのでした。「おしゃれでかわいいでしょう?」だけでなく、そう見える理由を説明することで最終的には「この外壁がいい!」とまで奥様に言わせたのです。これは一例ですが、お施主様のニーズを引き出し、的を射た説明をすれば、魅力的な外壁を使っていることが住宅会社決定の要因になると私は確信したのです。
私は住宅営業コンサルティングでクライアント工務店に出向くと、その会社の外壁素材をすぐに確認します。
「この外壁は営業トークとしてどのように使えるのだろうか?」
これは私の完全な習慣となり、根付いています。
②外壁に関する現役営業時代の大失敗(後ろから球が飛んできた)
外壁に関して、私には次のような大失敗経験があります。
あるお施主様のお宅にて商談をしていた時の話ですが、唐突にこのような質問が飛び出しました。
「この外壁って乗用車がぶつかっても大丈夫なぐらい強いの?」
さすがに私も戸惑って、どのように答えたらいいか分かりませんでした。
実はこのお宅はT字路に面した古い家で、30年ほど前に猛スピードで直進してきた車に激突されたことがあったのです。
その時はご家族不在で事なきを得たのですが、 家を建て替えるにあたって、再びそのような暴走車が突っ込んできた時の心配を私にぶつけたわけです。
しかし、前述のように、私は当意即妙な答えができませんでした。
その理由は明快です。
この種の質問を想定すらしていなかったことに加え、もし想定していたとしても、それに対する明確な答えを持ち合わせていなかったことにつきます。
このようなレアケースを含めて、外壁に関してお施主様から出るであろうと推測される質問の答えを準備して下さい。質問が出た際に淀みなく納得できる回答をすれば、外壁の説明で大きな得点を稼げます。ところが他社営業マンの大多数は、中途半端で当たり障りのない説明しかしません。相対的にあなたが有利になるのです。
③外壁アピールを武器にする発想方法を身につければ受注が増える
車の激突から家を守れるかという突拍子もない質問には、さすがの私も反応できませんでしたが、この失敗から住宅営業における教訓をたくさん得ることができます。
家に対する要望や不安に対して、外壁の優位性を使って商談を有利にできる項目をあらかじめ 列挙すれば良いのです。
例えば、沖縄の方であれば台風の話には敏感になります。
このようなニーズがあると推測できるので、台風の話が出たら「弊社が使用している外壁は他社製品と比べて耐風性がとても強く・・・」 といったトークを展開できるでしょう。
ところが、室内犬と一緒に家の中で仲良く暮らしたいというニーズがある方に対しては、外壁の優位性で話を進めるには困難があると思われます。
このように、住宅営業の商談現場で発生するお客さんのニーズを列挙し、それぞれの項目を外壁を絡めて説明できるかを精査し仕分けてください。
「営業トークが成り立つ」と判断した内容について、その説明を準備するのです。
④資産価値とメンテナンスのアピールは住宅営業の鉄板ネタ
新築住宅を営業する時、家の資産価値まで言及する営業社員はほぼいないのが現状です。
これは、お施主様自身に売却することになった場合への関心が向きにくいこともありますが、営業マンが外壁の話に全く触れないこと自体も大きな原因なのです。
競合で勝つ基本は他社営業マンが話さないことにも触れることでしょう。住宅の資産価値を商談のメインに据えることはないのですが、+αとして資産価値まで踏み込めば「この人はそんなところまで考えて提案しているんだ」と高い評価を得るのです。そして、資産価値を保つには外壁のメンテナンスが重要ですが、お施主様はそこに費用と手間をかけたくありません。費用と手間をかけなくても、新築時の状態を長く保つ素材を使った外壁を使用することの重要性が際立つことになります。
昨今の住宅営業現場では「メンテナンスのしやすい外壁」のアピールを前面に押し出しています。お手頃価格のタイルを標準装備する某住宅メーカーでは、この話を営業マンが深堀してアピールし、多くのお施主様が惹かれるポイントになっています。このように外壁のアピールは大きな武器になるのです。
そして、競合との明確な差別化として樹脂サイディング(ゼオンサイディング®)を前面に打ち出してはいかがでしょうか。
そのデザイン性、耐久性、メンテナンスの魅力に加えて「資産価値」まで踏み込めば、訴求力抜群であることを強く皆様にお伝えします。