カリフォルニアのタイニーハウスからミニマムな暮らし方を学ぶ

カリフォルニアのタイニーハウスからミニマムな暮らし方を学ぶ

「とても小さな家」という意味を持つタイニーハウス(tiny house)は、名前の通りとてもコンパクト。そこで本当に大切なものだけに囲まれて暮らすシンプルな暮らし方は、近年注目を浴びています。

今回は、カリフォルニアで人気のタイニーハウスのメリット・デメリット、ミニマムな暮らし方をご紹介します。

目次

カリフォルニアに多く見られるタイニーハウスとは?

カリフォルニアのタイニーハウスからミニマムな暮らし方を学ぶ
アメリカでは移動式のタイニーハウスが人気。

アメリカが発祥のタイニーハウス。特に明確な定義はありませんが、平屋で40㎡程度の大きさが一般的です。中には10㎡(約6畳)ほどの小さなサイズもあり、自分のスタイルに合わせて選べるのが魅力です。

タイニーハウスには、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは一般の住宅と同様に土地に定着させて建てる固定式。もう一つはシャーシというタイヤのついた土台に家を載せて車で牽引できる移動式です。アメリカでは、家と一緒に好きな場所へ行ける移動式タイニーハウスの人気が高く、場所にとらわれない自由な暮らし方が多くの人々を魅了しています。

タイニーハウスに関心が寄せられるようになったのは、金融危機による経済的な打撃や、ハリケーンによる大規模な自然災害で多くの人々が家を失ったことによるものといわれています。「物に縛られずに生きたい」「収入を住宅ローンの返済に費やす生活から解放されたい」。その思いから、シンプルに暮らして、より大切なことや愉しみのためにお金や時間を使う方が生活は豊かになる、という考え方が生まれたのです。

タイニーハウスのメリット

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ガレージをリフォームしてキッチンとリビングを設ければ、素敵なタイニーハウスに。 (写真提供/Royal Building Products)

タイニーハウスのメリットは、おもに4つあります。それぞれ見ていきましょう。

低価格で家を手に入れられる

一般的な新築住宅と比較すると、建築費が安く、数百万円から購入することが可能です。居住面積が小さいため固定資産税もおさえられます。

出費を抑えられる

限られたスペースで暮らすには、所有する物を厳選しなければなりません。必然的に買い物は必要最低限になるため、無駄な出費がなくなります。また、居住面積が狭く、ほぼワンルームで構成されているため照明の数が少なく済み、電気代や冷暖房費を抑えられます。

好きな場所へ移動できる

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気ままに旅する気分で好きな場所へ移動できるタイニーハウス。
(写真提供/Royal Building Products)

車輪がついたタイニーハウスは、好きな場所へ家ごと移動できます。住む場所に縛られない自由な生き方をしたい人にとって、移動式タイニーハウスは最高の住まいです。

DIYで建てられる

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DIYで自分のタイニーハウスをつくる醍醐味!出来上がったときの感動はひとしおです。

タイニーハウスは自分で建てることが可能です。電気工事など資格が必要な部分は専門業者に頼む必要がありますが、デザインするところからスタートして、じっくり家づくりを楽しめます。

また、小さな家づくりのキットを利用すれば、より手軽に建てられます。

DIYで建てられる小屋キットを利用した事例。ぜひ参考にしてください。

家族で協力してつくれば、良い思い出づくりにもなるでしょう。

タイニーハウスのデメリット

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収納スペースは限られているので、アイテムごとに置き場所を決めたらそれ以上ものを増やさないのが鉄則。

タイニーハウスのデメリットは、おもに3つあります。

収納が少ない

限られたスペースでは、当然収納スペースが少なくなります。デッドスペースを有効活用して、できるだけ収納を増やす工夫をしても限界はあります。タイニーハウスに住む場合は、所有するものを選び抜く作業が必要です。

子どもの人数や成長に合わせて増築する必要性が出てくる

子どもの人数が増えたり、子どもの成長によって一人部屋が欲しくなったりすると、居住スペースが足りなくなります。場合によっては、増築する必要があるでしょう。海外では、ライフスタイルに合わせて2件目のタイニーハウスを建てる人もいるようです。

プライベートを確保しづらい

タイニーハウスは居住面積が少なく、仕切りのないオープンスペースを基本とするため、プライバシーの確保が難しくなります。状況に応じてカーテンやパーテーションなどで工夫する必要があるでしょう。

タイニーハウスの間取り

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ロフトを寝室にして上部空間を有効活用。階段スペースは簡易的なステップや梯子で最小限に。

タイニーハウスは、水回り設備のない6畳程度のシンプルなものから、お風呂、小さなカバードポーチやルーフトップデッキ付きのものまで、実にさまざまなデザインがあります。空間を有効活用するために、ロフトスペースを設けるのが一般的です。

限られたスペースに必要な物が収まるように、椅子の下やベッドの下に収納を設け、テーブルは折りたためるように造作するなど、スペースを無駄にしない工夫が大切です。

セカンドハウスとして使う

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家の裏庭に建てた約6畳ほどホームオフィス。自然を身近に感じながら、落ちついた環境で仕事に打ち込めます。 (写真提供/Royal Building Products)

タイニーハウスは、セカンドハウスとして活用すると生活の幅が広がります。

  • 別荘のように使い、週末にのんびり過ごす
  • 秘密基地のように趣味を楽しむ家にする
  • 集中して仕事ができるようにワークスペースとして使う
  • ゆったりした時間を過ごせるように第2のリビングとして使う

このように、メインの住まい以外に第2の拠点を設けることで生活の幅が広がります。ゆったりとした時間を持てるようになり、より充実した暮らし方ができるでしょう。

タイニーハウスづくりにおすすめのデザイン事例

カリフォルニアでも人気の高いグレーの外壁に、白い窓枠が美しく映えるスタイリッシュな外観。タイニーハウスのようにコンパクトな家には、濃い色よりも少し明るめの色を外壁に取り入れると、家が大きく見えて見栄えが良くなります。

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メンテナンスが楽にできる樹脂サイディングは、シンプルな暮らし方にピッタリです。 (写真提供/Royal Building Products)

タイニーハウスでは、窓を大きくとったデザインもよく見られます。外の景色を満喫できるようになり、室内空間が開放的に。ロフトに設けた寝室に窓を設置して、夜空を眺めながら眠れるようにデザインするのもおすすめです。

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テラスやちょっとした階段は、外観を豊かに演出できます。 (写真提供/Royal Building Products)

屋根やテラスをブラウン系で揃え、白い樹脂サイディングを際立たせた外観。ナチュラルな空気感が漂い、カリフォルニアの青空にも日本の景色にもよく合います。タイニーハウスの屋外にカバードポーチやテラスを設けると、くつろいだり趣味を楽しんだりするスペースとして活用でき、家の印象も高まります。

タイニーハウスは、小さいからこそ魅力的。自分の想いをギュッと凝縮して表現できる、楽しみが詰まった家です。メインの生活拠点として、セカンドハウスとして、新しい生活スタイルを取り入れて、より暮らしを豊かに彩りましょう。

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著者情報

神谷三理砂のアバター 神谷三理砂 ライター/一級建築士

建設会社にて意匠設計を担当。アメリカでジュエリー制作やアートを学び、独立後は住宅兼カフェの設計や装飾品のデザインを手掛ける。現在は、おもに住宅や暮らしに関する執筆を行っています。

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