50代になったら考えておきたい終の棲家のこと。終の棲家を作るリフォームとは、単に人生を終わらせる準備のためだけではなく、この先を、健康に、幸せに暮らすための家づくりの手法です。今回は、押さえておきたい3つの要素と、終の棲家づくりで重要な意味を持つ外壁材選びについてご紹介します。
終の棲家で大切な3つの要素。「健康・喜び・お金 」
人生100年の時代です。終の棲家とは人生を終わらせる準備のためだけの家のことではありません。今50歳だとしたら、この先の50年をどう幸せに暮らすかを考えることが、本当に快適な終の棲家を作るための大切なポイントとなります。
今、日本の住宅の一次取得層、つまり初めて家を買う年代は圧倒的に30代が多くなっています。30代と言えば子育て世代ですから、家づくりの際も子育てを中心に考えた方が多かったことでしょう。
しかし50代になれば子どもたちは大きくなり、今度は自分たちのこれからの暮らしについてじっくり向き合う必要があります。50代からのリフォームでは、子育ての時代とはまた違った、大人の暮らしのための視点が必要になるのです。
老後の人生を充実させるためには、趣味など生きがいがあったほうがいいとか、友達がいたほうがいいとか、人によって色々あるとは思いますが、実はどんな家に住んでいるかもとても重要になります。
家はそこに住んでいる人の生活を、イチから変えてしまうほどの影響力を持っています。例えば夫婦関係は寝室のプランに、子どもの自立のスピードは子供部屋のプランに大いに影響を受けます。また家族の健康も、家のプランに大いに関係があるのです。
幸せな終の棲家を作るリフォームで押さえておきたい大切な要素は、「健康」「喜び」そして「お金」です。まずは健康に暮し続けるためのリフォームのコツからご紹介しましょう。
どんな家で暮らすかで、住んでいる人の「健康」状態は変わる
健康を維持するために必要な要素は大きく2つあります。
1つめは、病気やケガをしにくい家にしておくことです。断熱性能が低い家は、冬に寒く、ヒートショック現象を起こしやすくなります。ヒートショック現象とは、急激な温度変化によって脈拍や血圧が急変、命にかかわる体調変化を引き起こすもので、主に寒い浴室で発生します。
ヒートショック現象による死亡者数は年々増加し、年間17,000人を超えると想定されています。また死亡を免れたとしても脳卒中につながることもあり、寝たきりの原因になる可能性があります。ぶるぶると震えながら熱いお湯に浸かるといった暮らしは、単に暮らしにくいだけにとどまらず、命の危険があるのです。
家の中に段差が多い、階段に手すりが無い、滑りやすい床の家は、転倒・転落をしやすくなります。家庭内事故の中でも、転倒、転落によるケガは多く、高齢者は重症化しやすい傾向があります。
2つめは、家事がしやすい家であることです。高齢になると、掃除や片付けが行き届かなくなり家の中が散らかってしまったり、料理がおっくうになって買ってきて済ませるようになったりと、生活環境が悪化しやすく、健康によくありません。
終の棲家を作るリフォームでは、まずはお風呂場を温かく、バリアフリーにしておくこと。また掃除や片付け、炊事、洗濯などの家事がラクにできるようにして生活の質を高く保てるようにしておくことが、この先を健康に暮らすために欠かせないこととなるのです。
人生の「喜び」は家が生み出してくれる。小さな工夫で楽しい毎日に!
終の棲家のリフォームでは、豊かな気持ちで暮らせる工夫を加えておくと、これからの人生がより楽しくなります。
例えば、休みの日に子どもや孫たち、気の置けない友人たちが遊びに来たくなる家づくりの工夫をしておけば、子どもたちが独立した後、普段は夫婦2人で落ち着いた暮らしを送りながら、たまには大勢でわいわいと楽しい時間が過ごせます。
そんな時間をより楽しいひと時にするカギとなるのが、キッチンとダイニングのプランです。
閉鎖的なキッチンでは、つい誰かが1人で料理をするスタイルになりがちですが、オープンなキッチンならみんなで料理をしながら食べることができます。ダイニングテーブルは、伸長式を選んでおけば、普段はコンパクトに、来客時は大きく広げて使えます。
また空いた子ども部屋や、活用できていない和室があったら、そのままにしないで、これからの暮らしのために見直してみましょう。収納不足に悩んでいる人が多いと思いますので、半分を収納専用の小部屋にして、残りを趣味の専用の部屋にするのもいいでしょう。
庭にウッドデッキを敷けば、庭の手入れがラクになり、たまには庭でお茶やお酒を楽しむなど、非日常の楽しい空間が生まれます。暮らしの喜びは家が生み出してくれます。より充実した毎日を送れるような工夫を考えてみてください。
外壁リフォームが先々をラクにしてくれるカギ!「お金」のかからない家に
終の棲家を作るリフォームでは、お金のこともしっかり考えておく必要があります。老後を考えると、先々は、できるだけお金が掛からない家にしておきたいものです。
まずは光熱費の削減です。光熱費を削減するコツは2つ、家の断熱性能を上げることと、省エネ設備を選ぶことです。
断熱性能が高い家は、小さなエネルギーで冬は暖かく、夏は涼しく暮らすことができ、光熱費が安い快適な家になります。冬に暖かい家はヒートショック防止につながりますから、健康にもいいですね。
給湯器の省エネ性能もチェックしましょう。家庭が消費するエネルギーの中でも、お湯を沸かすために使われているエネルギー割合は大きく、給湯器の省エネ性能によって、月々の光熱費が大きく変わります。設備機器の価格が少々高くても、この先の光熱費のランニングコストが安ければ、すぐに元が取れることも多いので、機器の決定の際には、必ず試算をしてみましょう。
見落としがちなのが、メンテナンスの費用の削減です。初期費用が安くても、先々に高額なメンテナンス費用が必要になってしまえば、後々大きな負担になります。また年を重ねると、リフォームそのものが大変になりますので、できるだけメンテナンスの回数が少なくて済む、高耐久な材料を選んでおくといいでしょう。
特に、しっかり検討したいのが外壁材選びです。外壁は家の構造を守る大事な部分であり、家の寿命に影響を与えます。健全に保ち続けるためには定期的なメンテナンスが必要ですが、リフォームの中でも大きな費用が掛かる部分のため、慎重に検討する必要があります
例えば、モルタルの外壁をシリコン系塗料で塗り替えると、メンテナンスのスパンはおよそ10年です。1回の工事でおよそ80万円掛かるとすると、30年で3回、合計240万円が必要です。
一方で、初回工事に150万円掛かるけれども、30年以上メンテナンスがほとんど不要な外壁材を選べば、トータルで90万円ほど節約できる計算になります。また足場をかけるために不便な生活を我慢したり、ご近所への挨拶をしたりといった工事にまつわる手間も減らすことができます。
材料や工法には様々な選択肢がありますが、目先の費用にとらわれることなく、メンテナンスの手間が少ない高耐久な外壁材や工法を選んで頂ければと思います。もちろん第二の人生を送る大切な住まいになるのですから、デザインにもこだわって満足のいく我が家にしましょう。
ローラー塗装、窯業系サイディング、金属系サイディング、樹脂(塩ビ系)サイディングの、外壁リフォームに掛かる費用の概算とメンテナンスのスパンの一覧表は下記でご紹介していますので、ご参考にしてみてください。
終の棲家を作るリフォームで大切な3つの要素は、健康、喜び、そしてお金です。ポイントをしっかり押さえて、幸せな終の棲家づくりをしてくださいね。