樹脂サイディングの材料である塩化ビニル樹脂はプラスティックの仲間です。そのため、防火性能や火災時の影響について心配している方もいるかもしれません。そこで、樹脂サイディングと防火について、詳しく解説します。
燃えにくく、火災の危険性が少ない樹脂サイディング
樹脂サイディングは、火災の際にも被害を最小限にとどめる安全性に配慮されています。まず、サイディングそのものが発火することはほぼありません。というのも、塩化ビニル樹脂は原料の半分以上が塩であるため、素材自体が燃えにくいのです。紙や木の自己着火温度(火の気がないのに自然に発火する温度)が200~250℃であるのに比べて塩化ビニル樹脂の自己着火温度は455℃と高いため、火災の危険性が少ない素材といえます。
では、延焼についてはどうでしょうか。材料が燃え続けるために必要な空気中の限界酸素濃度を酸素指数と言いますが、一般に酸素指数が21(空気中の酸素濃度と同等)以上であれば、継続的に燃え続けることはありません。塩化ビニル樹脂は酸素指数が45と、こちらも木材や木綿に対して大きな数字を持っています。さらに、塩化ビニル樹脂は自己消火性があるため、他の可燃物の炎と接していない限りは燃え続けることがなく、すぐに消えてしまうのです。
ちなみに、一般に燃えないと思われている金属サイディングは、裏面に樹脂系の断熱材が使用されているため、火災時には注意が必要となります。
国土交通大臣の個別認定を取得。全国各地の戸建て住宅で使用可能
樹脂サイディングは、「防火地域」には使用することができません、また、「準防火地域」や「22条区域」での使用は、認定を取得した構造を使用することになります。
防火地域とは、鉄道の駅前や、幹線道路沿いなどで役所や銀行、オフィスなど都市機能が集中しているエリアになります。その外側の中規模建築物や住居が密集している地域を「準防火地域」と言い、さらにその外側にある地域で、建築基準法第22条に基づく地域が22条区域です。22条区域は市町村長、もしくは都道府県知事が独自で定めた区域となるため、一概に駅から何キロといった基準で定められているわけではありません。こうした、多くの住宅が密集して建っている地域では、延焼を防ぐために、ある基準以上の防火性を持った構造にすることが義務付けられています。さらに、東京23区や大阪市といった都市圏では、条例により、独自に防火規制のある区域を定めています。
ここで一つ注意していただきたいのが、建築基準法においては、外装材単体での防火上の性能を評価されるわけではないことです。外装材がどんな素材であっても、それ自体に規制があるわけではなく、外装材から内装材までの外壁構造全体についての防火性能が問われるということです。
樹脂サイディングはメーカーが、各種不燃材との組み合わせによる準防火構造の国土交通大臣の個別認定を取得しています。そのため、準防火地域や22条区域を含め、全国ほとんどの戸建住宅で、外装材に樹脂サイディングを使うことが可能です。
また、こうした地域では、外壁材のほかにも屋根材の規制があったり、窓などの開口部の防火措置についての細かい指定が定められていたりします。ご自身の家が指定地域になっているかどうかは市区町村の都市計画課や建設事務所といった窓口で調べることができるので、心配な方は一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。